家づくりの職人たる大工さんの世界でも、昨今は無垢材に墨付け、手刻みからできる伝承技術を持った職人は希少価値のある存在となっています。
同様に、私たち木材流通の世界でも、木の価値を正確に見極められる「木の目利き」は希少価値のある存在です。
プロフェッショナルとして木を見極める力を持つことは、木の文化を伝えていくことに他なりません。そこに私たち木のプロフェッショナルとしての存在価値があると信じています。
木は、同じ品種、同じ山で育ったものでも、一本一本みな違った特徴があります。同じ山でも生育環境によって、木の持つ表情は異なってくるのです。それこそが難しさであり、面白さでもあります。
一本の木を見るときに、どういう点に留意すればいいのでしょうか。
まず、「色」です。良質な木は、美しい赤み。黒ずんだ木は美しくありません。
次に「年輪のこみ具合」。年輪の幅が小さいほど、木は固く、同じ大きさでも樹齢が100年と200年では価格も大きく異なってきます。
そして、「節」の有無。節が良い味を出しているという見方もある一方で、無節の木材は役物として価値があるのはいうまでもありません。無節の木は偶然にできるわけではなく、山で生えているときから製材時に表面に節が出ないよう、注意深く手入れされているのです。
陽疾(あて)の存在を見抜くことも大切な技術です。陽疾は、樹木が山の斜面など特殊な環境によって生じ、傾いた木や曲がった木にできる組織の硬い部分。建築に用いると、曲がり、反りなど狂いが生じやすいので嫌われます。